大和絵と日本画の違いは?時代と特徴からわかりやすく解説します
こんにちは、日本画家の酢田こいちです。
今回は、大和絵(やまとえ)と日本画(にほんが)を比較して、
違いの部分と、共通している部分を見ていきます!
皆さんは大和絵と聞いてどんなイメージが浮かびますか?
平安貴族や、豪華な十二単などでしょうか?
2023年には、大和絵展が企画展として大々的に行われました。
では、日本画と聞くとどんなイメージがあるでしょうか?
浮世絵や、葛飾北斎など江戸の文化のイメージでしょうか?
それではここから大和絵について、
日本画についてを
それぞれ生まれた時代や特徴を見ていきましょう。
大和絵とは?
生まれた時代:平安時代
平安時代には、中国的な要素、題材で描いた唐絵(からえ)があり、
これに対するように日本の文化や
自然の要素、題材で描いた大和絵(やまとえ)が誕生しました。
作品について:
絵巻物や、屏風などに描かれた大和絵の特徴は、
なんと、時代ごとに変化していきます。
進化とも、作品形態が変化しているとも言えると思います。
現代で最古の大和絵と言われている
11世紀の東寺に伝わる屏風
「山水屏風」から見ることができます。
ここから100年後には絵巻物が作られ始めます。
「住吉物語絵巻」
The Tale of Sumiyoshi, 13th century
The Metropolitan Museum of Art, New York, Mary Griggs Burke Collection,
http://www.metmuseum.org/Collections/search-the-collections/53194
時代が変わり
鎌倉時代には、より進化した絵巻物が作られ、
「似絵」という肖像画の立ち位置と言えるような作品形態も生まれます。
「藤原鎌足像」
使われている画材:墨、天然岩絵具、金箔
日本画とは?
生まれた時代:言葉が生まれたのは明治時代ですが、所謂日本画的な作風、作品が
作品について:
時代を経て現代にも人々を魅了するデザインを見ることができます。
鈴木其一「朝顔図屏風」
使われている画材:墨、岩絵具、金箔、銀箔、水干絵の具
大和絵と日本画を比較!違いと共通する部分は?
違うところ
1:作品が作られる環境
大和絵が作られた時代は、誰もが自由に絵を描ける環境ではありません。
また、位が高く地位のある人や
幕府からの依頼で制作されたものが多くあります。
日本画は、大和絵のように地位のあり人からの依頼で制作されたものもあれば、
個人が自由に描いたものや、
実験的に描かれたもの、絵画研究として制作されたものも含まれています。
2:画風や画材の決まり
大和絵は、ある程度描かれる題材が決まっていて
画風も揃ったようになっています。
日本画は、狩野派や琳派などそれぞれ流派ありますが
そういった流派以外にもたくさんの画風があります。
題材も、ジャンルとして風景や
美人画などありますが、誰が何を描いても基本的には自由です。
共通するところ
1:外国の絵画と比べてジャンル分けされた部分
大和絵は唐絵と比べて、日本画は、西洋絵画と比べて
日本のものとして独立させています。
2:作品形態が変化していく部分
大和絵は作品形態そのものが種類として増えていきます。
日本画はさまざまな文化が入り混じって時代が進んでいくにつれ
作品形態だけでなく、作風も変化していきます。
3:画材
日本画は、大和絵が元なので
どちらとも画材は同じですね。
現代の日本画は、大和絵と同じ画材にプラスして、
アクリル絵の具やジェッソ等の他の画材が用いられることもあります。
まとめ
はじめに思いついたイメージと、
大和絵について、日本画について知った後でのイメージはどう変化しましたか?
大和絵は平安時代に中国の唐絵と対するように
生まれた日本国内の絵画で、
日本画は明治時代に
西洋画と分けるためにできた言葉から、
大和絵の流れで発展してきた日本絵画です。
この2つの大きな違いは
1:作品が作られる環境
2:画風や画材の決まり
この2点のご紹介と、
共通の部分は
1:外国の絵画と比べてジャンル分けされた時代背景
2:作品形態が時代とともに変化する
3:同じ画材を使用している
この3点をご紹介しました。
大和絵は日本画の元となっていると言えます。
複数の国、地域の文化や
伝統的な絵画技法が混ざり合ってできたのが日本画であるとも言えます。
大和絵も、日本画も、歴史とともにそれぞれが成長してきました。
中国絵画の唐絵から、日本国内の大和絵へ、
西洋絵画と分けるために日本の絵画として日本画が生まれ発展しました。
大和絵と日本画どちらも歴史と密接に関係しています。
日本史をより詳しくみてみると
日本の美術と当時の治世や文化への理解がより深まるかもしれません。
大和絵と日本画どちらにも、
お好みの作風があると
美術館の企画展もより楽しく、面白くみられるのではないでしょうか。
それでは素敵なアートライフを!
使用画像元:the metropolitan museum
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