【日本の文化】浮世絵とは何か?簡単に、わかりやすく解説します!

かんたん浮世絵解説

この記事は、浮世絵についてかんたんに知りたい方向けとなっています。

もくじから飛んで読みたい項目をご覧ください。

 

浮世絵とは何か?

浮世絵についておおまかに説明すると

江戸時代に生まれた当時の風景や町の様、人気の役者などをかいたものことを指します。

特に浮世絵版画は庶民でも手頃な値段で買うことができました。

木版画を用いたことで同じものをたくさん生産でき、

安く売る事ができました。

浮世絵には、肉筆浮世絵というものもあり、

浮世絵=木版画だけではないこともわかります。

これから詳しく見ていきましょう!

浮世絵が生まれた時代

浮世絵は江戸時代に生まれました。

それまでは戦乱の世でしたが江戸時代には平和が訪れたことで

今にも続くさまざまな文化が庶民たちの間で発展しました。

   

「浮舟」源氏雲浮世画合わせ 歌川国芳    美人五節の遊(びじんごせちのあそび) 喜多川歌麿

 

浮世絵の種類

2つの種類の浮世絵を紹介します。

まず1つが皆さんがよく聞く「浮世絵版画

これはその名の通り木版画で刷られた浮世絵で、

庶民たちに親しまれ、流行したのがこの浮世絵版画です。

浮世絵版画は多色刷りの木版画で、錦絵(にしきえ)とも呼ばれます。

諸国六玉川(しょこくむたまがわ)歌川広重

 

もう一つが「肉筆浮世絵

これは庶民ではなく、お金持ちが直接絵師に依頼して

フルカラーで絵を描いてもらい、描いてもらった原画そのものを買うという高級なものです。

現代の「画家」のイメージや、ヨーロッパなどの「宮廷画家」のような感じです。

これは原画なので、和紙や絹に直接描かれた作品を掛け軸などにして飾ったようです。

浮世絵版画がどうやって作られたか

肉筆浮世絵は絵師の原画を依頼者が直接受け取る形態でした。

では浮世絵版画はどのように作られていたのでしょうか?

版元(はんもと)

絵師に原画を発注し、絵の内容を監修します。

監修後に出来上がった浮世絵を受け取り、

店に卸して販売してもらいます。

 

絵師

版元に監修を受けながら浮世絵版画の元となる版元絵(原画)を制作します。

このとき描かれるものはモノクロです。

版元のokが出て完成した版元絵(モノクロの原画)は、

彫師に届けられ次の工程に進みます。

 

彫師

絵師が描いた版元絵から木版画の要といえる

版木を制作します。

版木とは、はんぎ と読みます。

この版木に絵師の描いた絵を描き写し、

色ごとに版を分けて彫っていきます。

版木づくりの工程は 

・絵師が描いた版元絵の色分けをします。

・色が決まったら、版木を用意し、

   彫っていきます。

・版木が全て完成したら摺師の作業に移行します。

摺師

彫師の制作した版木に色をつけ、和紙に摺る職人のことをいいます。 

摺りの工程は 

・版木と和紙をそれぞれ湿す 

・版木の着彩したい部分に絵の具などで色をつける

・版木に和紙を密着させ、ばれんで摺る 

・着彩したい色の数だけ同じ動作を繰り返して完成 

・出来上がった浮世絵は、

版元に納品されます。

 

これだけ見ると意外と簡単に見えますが、

それぞれの作業工程には技術が必要だったからこそ

絵師だけでなく彫師と摺師にまでわかれています。

絵師と彫師、摺師は

漫画家と印刷会社のような関係に近く、

絵師は名前が載りますが、

職人の彫師、摺師たちはほとんど名前の載らない

陰で支える縁の下の力持ちでした。

有名な浮世絵師たちを3人紹介

ここでは、有名な浮世絵師たちと、代表作を見ていきましょう。

1.葛飾北斎:代表作「富嶽三十六景」

富嶽三十六景’by 葛飾北斎. Image via Los Angels Country Museum of Art

2.歌川国芳:奇想の絵師 

代表作「相馬の古内裏(そうまのふるだいり)「がしゃどくろ」としても有名

3.歌川広重:代表作「東海道五十三次」

木版画体験談

※このパートは、木版画がいかに大変かの体験談です。必要ない方はスルーしてください。

木版画は日本の小学校、中学校では美術の時間にやった事がある方もいるのではないでしょうか?

筆者は3年ほど木版画を制作していた経験があります。

簡単でシンプルなものなら誰でもできるものですが、

あるとき細かいデザインにしたところ、

周りをほとんど削って細い線を彫ることも大変で、

さらに多色刷りに挑戦しましたがとにかく難しい。

多色刷りは色ごとにばれんでそれぞれ一回ずつ、

位置を揃えて重ねながら行いますがズレや色のかすれなど

思い描く完成まではとても時間がかかりました。

教科書や美術館で見た葛飾北斎の浮世絵のような

綺麗なグラデーションや線の表現、何色も使った美しい画面は

絵師だけでなく「彫師」「摺師」がいることで出来上がる

時間をかけて習得した技術の賜物なんですね。

今も木版画を鑑賞するときは

一つの木版画にかかった技術や費やした時間を思いながら見てしまいます。

 

以上木版画制作を体験して感じたことでした。

現代の浮世絵

今現在も浮世絵は作られていて、

基本は変わらずに、より進化し発展しています。

アダチ版画 こちらのサイトでは、

国内の若手から草間彌生、国外のハイセンスな作家など、

現代に生きるアーティストたちの作品を

浮世絵にしたものが見る事ができます。

パッと見るだけでもおしゃれなものがたくさんあり、

どんどんアップデートが進んでいることがわかります。

しっかりと伝統を残しつつ、

現代に生まれたアートの良さを取り込みより進化しています。

東京にあるアダチ版画研究所 目白ショールームでは、

浮世絵作品を見る事ができるそうです。

興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

まとめ

浮世絵は江戸時代の町人文化から発展したものです。

木版画を使って制作される浮世絵版画が一般的に「浮世絵」として認識されていますが、

絵師手描きの原画も肉筆浮世絵と呼ばれ、浮世絵のひとつです。

浮世絵版画は庶民が気軽に買う事ができたため

流行し広まりました。

 

絵師に対する絵の監修や、店への卸しをする版元

版元絵を作る絵師、版木を作る彫師、

版木を使って和紙に刷る摺師

など、浮世絵版画の制作工程には多くの人が関わり、

出版社のようなシステムがありました。

絵師は作品に名前が載りましたが、

彫師や摺師の名前が載ることはほぼありませんでした。

 

現在の浮世絵は守るべき伝統技法にプラスアルファして

国内外のハイレベルなアーティストたちの作品を浮世絵化をしています。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

浮世絵の知識が少しでもお役に立つと嬉しいです。

浮世絵と日本画の違いについても書いています。

よければこちらからお読みください。

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